スライムを倒し続けて楽しい?ビジネスを「最も面白い遊び」として考えてみた
柳澤大介はマーケティングのプロであり、その豊富な知識と情報分析に基づいて「賢い経営戦略」を練り上げるスペシャリスト。安田佳生は境目研究家を名乗り「おバカな人ほど儲かる時代が来る」と断言する変わり者。
ある意味真逆な思想を持つ二人が、世の中の様々な経営戦略について独自の視点から意見を述べ合う番組が「賢い戦略vsおバカな経営」です。
読むポッドキャストでは音声番組の内容を読みやすく要約してお届けしています。
第4回は「おバカな人ほど稼げる時代がやってくる」です。
サマリー
- 「良い学校に進学して、良い会社に入る」20年前と変わらない価値観に留まる人が多いのはなぜか?
- ゲームではレベルアップを楽しむのに、現実世界では武器を買わないし強い敵に挑まない。
- これまで通りの商売が飽和を迎えた先では、「おバカ」こそが人を驚かせる発明ができる
20年前から変わらない価値観を「バカギュラリティ」は塗り替えるのか?
安田:前回「バカギュラリティ」というお話を少ししました。いずれAIのほうが早く正確な賢い戦略を立てられるようになるように思うのと同時に、お間抜けな戦略はまだ人間でないと考えられないのではないかと思っています。
「おバカな人のほうが稼げる」ということは現実に起こり得ると思いますか?
柳澤:そうなっていくと思いますね。
安田:どういう「おバカさ」がお金になるんでしょうか?
柳澤:20年以上前、私が学生だった当時は「できるだけ良い学校に行って、良い会社に勤めること」が人生の目標としてマジョリティであり、親も子も望む生き方でした。私には中学生と高校生の子どもがいるのですが、周りを見てみるとこの価値観は20年前とあまり変わっていないように感じています。
息子は小学生の頃からサッカーをやっていて今も続けているのですが、周りの子供達の中には「中学受験があるからサッカーを辞める」「勉強と部活を両立したいから、テストの日はサッカーを休む」といった子も多くいます。
そうした話を見聞きすると、今の時代もまだ真面目というか、盲目的に「良い会社に入ること」がゴールになっているように思います。
安田:最近は良い会社に入ることをゴールにしてもその先がないとも言われるようになりましたが、未だに根強い価値観として残っているんですね。
柳澤:そうなんです。好きなことで稼ぐことに振り切れる人は、増えているもののまだ少ないと思います。遊びや趣味を仕事にするという方向に思い切って振り切れる人ほど、「バカギュラリティ」の波にいち早く乗れるのではないかという気がします。
RPGも人生もルールは同じなのに、人は現実世界で“遊ばない”
安田:私は「遊び心」が一番大事だと思っています。表現が難しいのですが、「真面目すぎない」ということではなく「人生を“人生ゲーム”だと本当に錯覚できる力」のイメージです。
かなり昔からある作品ですが、ロールプレイングゲームの『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』などをやったことはありますか?
柳澤:あります。
安田:まずは弱いモンスターをやっつけるところから始めて、経験値が増えてお金がもらえると武器や防具を買えて、さらに強いモンスターを倒せるようになって稼げるお金が増える。普通はこの順番ですよね。
柳澤:そうですね。
安田: ゲームの中では弱いスライムだけをひたすらやっつけ続けてそれ以上強い敵にはチャレンジせず、稼いだお金をすべて貯金して何も買わないという人は恐らく一人もいないと思うんです。でも、現実社会にはそういう人がすごく多い。
「現実はゲームと違う」という認識なのだと思いますが、現実もゲームもほとんど同じルールで成り立っていると私は思っています。
おもちゃのお金と普段使っている日本円の違いは、単に「本物だ」とみんなが信じているかどうかだけです。本当に信じ込めばおもちゃのお金だってお金になりますし、ビットコインだってお金になりました。
私は経済やビジネスというのは「人間が作った最も面白い遊び」だと思っているので、ゲームも現実もルールは同じだと考えています。
柳澤:はいはい。
安田:ディズニーランドがいかに完成度が高くても、大人はミッキーマウスが本当にミッキーマウスだとは思っていません。所詮は被り物だと分かっているので「夏は暑いのに大変だなぁ」と思ってしまうじゃないですか。
柳澤:あはは(笑)
安田:だけど経済ゲーム・お金儲けゲームに関しては、リアル感がすごいんです。
これをゲームや遊びだと思える人は少なくて、「これは遊びじゃない、マジだぞ」と思うからこそスライムをやっつけ続けるし、「将来何があるか分からないから」と貯金し続けるのです。
でも冷静に考えたら、武器や防具を買ってもう少し強い敵をやっつけたほうが確実にお金持ちになれますよね?街の人の話を一生懸命聞いても、「万が一スライムにやられたらどうしよう」と言って一切外に出なければレベルは上がらないのです。
どうして現実世界にはこういう思想の人が多いのですかね?
柳澤: 小学校でも中学校でも、学校ではそういうことを教えてくれないからじゃないですか?
安田:「この教育の先にゴールはないぞ」と誰かに言って欲しいですよね。
柳澤:言ってくれないですし、先生自身も同じルールの中で先生になったので教えられないんだと思います。
安田:確かに、そりゃそうですね。
柳澤:だからこそ当面の間は「バカギュラリティ」がブルーオーシャンのままな気がします。
モノが溢れる世の中、潜在的なニーズを刺激するのは「おバカ」な発想力?
安田:私が「バカギュラリティ」を意識しているからか、最近Amazonのレコメンド機能で「愚痴の壺」というものが出てきたんです。その壺に向かって愚痴を言うとスッキリするらしいのですが、ただの壺なんです。わざわざ高いお金を出して買う必要はないのに、そんなものが商売として成り立っていることには驚きました。
柳澤:面白いですね。同じ壺でも「愚痴の壺」というコンセプトで売ると、ただの壺より10倍くらい高く売れそうです。
安田:そうなんですよ。「何に使うか?」という使い方を変えているだけですよね。人間には欲しいものが無限に出てきて、なくなりません。しかし意外なことに自分が欲しいものを自覚してはいないんです。
若い子に「何か欲しいものはありますか?」と聞くと「特にありません」という答えが多いことを切り取って、「今の20代は欲しいものがない」というニュースになっているのを見たときに「この人たちはバカだなぁ」と思いました。彼ら・彼女らだって出会いによって欲しいものは出てくるんです。
今は欲しいものがなくても、「これかっこいい!」「これかわいい!」という出会いがあれば買うんです。ニーズはいくらでも作り出せます。
柳澤:そうですね。
安田:真面目な計算の先にある商品も大事なのですが、それには限界が来ていて、これからは火星に飛んでいったりどこでもドアを発明するくらいのことがないと驚きません。最先端の機器も今は安くなっていますし。
「愚痴の壺」なんて、そう書いてあるだけで何の役にも立たないのに買う人はいます。
柳澤:これからは「バカギュラリティ」で付加価値をつけて高く売る時代が来るでしょうね。
安田:今後も「バカギュラリティ」を掘り下げていきましょう。「稼げるバカ」と「稼げないバカ」の境目についても話してみたいので、次回以降もよろしくお願いします。
柳澤:はい、よろしくお願いします。
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