企業・経営者向け|ポッドキャストの始め方を5ステップで解説【目的設計・機材・配信・運用】
「ポッドキャストを会社で始めたいが、何から手をつければいいか分からない」
「社長の声で発信したほうがいいと言われたが、機材も配信も未経験」
この記事は、そんな経営者・広報・人事担当者のために、企業がポッドキャストを始める手順を5つのステップでまとめたものです。趣味の配信ではなく、採用・ブランディング・集客といった会社の目的に繋がる番組を作るための始め方に絞っています。
筆者は経営者専門のポッドキャスト制作会社・社長ラジオ株式会社の代表として、自分でも2番組を運営しながら、経営者の番組を企画・制作しています。実際に番組を作っている立場から、機材の選び方、配信手順、内製と外注の判断、費用の目安まで一通り書きました。
この記事で分かること
・企業ポッドキャストの3つの目的(採用・ブランディング・集客)と番組設計の違い
・初期投資5万円で揃う機材と、社内でできる収録・編集・配信の手順
・内製するか制作会社に頼むかの判断基準と費用相場
・始めた企業が3ヶ月で挫折しないための運用の型
目次

企業がポッドキャストを始める前に知っておきたいこと
個人の配信と「企業ポッドキャスト」は始め方が違う
個人が趣味で始めるなら、マイクを買ってSpotifyに登録すれば今日から配信できます。企業の場合も手順自体は同じですが、先に決めるべきことが2つあります。
- 何のためにやるのか(採用か、ブランディングか、集客か)
- 誰が、どの体制で続けるのか(社長が話すのか、社員か。企画・編集は誰か)
ここを決めずに始めた企業番組は、10回前後で更新が止まります。逆に目的と体制さえ決まっていれば、機材や配信方法は後からいくらでも変えられます。
経営者が自分の声で発信する意味
ブログやSNSは、広報担当やライターが代筆できます。しかし声は代筆できません。経営者が自分の言葉で、自分の声で語る番組は、「この社長の会社で働きたい」「この人の会社に頼みたい」という判断材料として、文章より強く届きます。
社長ラジオでは、この「経営者の声を資産にする」ことを前提に番組を設計しています(サービス内容はこちら)。
ステップ1:目的を決める(採用・ブランディング・集客)
企業ポッドキャストの目的は、ほぼこの3つに集約されます。目的によって番組のテーマ、話す相手、長さ、聴いてほしい人が変わるので、最初に1つ選んでください。

採用目的の番組
- 聴いてほしい人:応募を迷っている候補者、内定者、入社1年目の社員
- テーマ:社長が会社を始めた理由、仕事で大事にしていること、社員との対談
- 設計のポイント:求人票やコーポレートサイトに書けない「社風」「価値観」を声で伝える。候補者が面接前に聴けるように、採用ページや求人媒体に番組リンクを置く
- 効果の見方:面接で「番組を聴きました」と言われる回数、内定承諾率
ブランディング目的の番組
- 聴いてほしい人:業界の関係者、取引先、メディア、講演やセミナーの主催者
- テーマ:業界の課題に対する社長の見解、経営判断の裏側、ゲスト経営者との対談
- 設計のポイント:専門性と人柄の両方が伝わるように、「知識」と「エピソード」を半々にする
- 効果の見方:講演・取材・執筆の依頼、紹介経由の商談
集客・営業目的の番組
- 聴いてほしい人:見込み客、既存顧客、パートナー企業
- テーマ:顧客の課題の解説、導入事例、よくある質問への回答
- 設計のポイント:1本の収録を文字起こしして記事化し、検索流入の入口にする。番組の概要欄と記事から資料請求・問い合わせへ導線を引く
- 効果の見方:番組経由の資料請求・問い合わせ、商談での「聴いていました」の数
社長ラジオで企画する番組も、この3つのどれを主目的にするかを最初に決めてから、番組名・構成・ゲストの方針を設計しています(オリジナル番組企画)。
ステップ2:番組を設計する(名前・形式・長さ・頻度)
番組フォーマットは3種類

初めての企業には「社長×社内の聞き手」の対談形式を勧めています。社長が台本を書く必要がなく、聞き手が質問を用意するだけで回るからです。社長ラジオの番組もほとんどがこの形式です(番組一覧)。
長さと頻度の目安
- 1エピソード:10〜20分。通勤・移動中に1本聴き切れる長さ
- 配信頻度:週1回または週2回。月1回だと忘れられ、週3回以上は続かない
- まとめ収録:月に1回、2時間で4本分を収録すると、社長の拘束時間は月2時間で済む
番組名の付け方
番組名には「社名」か「社長の名前」のどちらかを入れてください。検索したときに見つかる確率が上がり、社名や社長名で検索した人に番組が表示されます。例として弊社の共同代表の番組「安田佳生のブレインスイッチ」は人名、筆者の「40’s Biz talk」はコンセプトで命名しています。
ステップ3:機材と録音環境を整える(初期投資5万円)
音質が悪いと、どんなにいい話でも聴いてもらえません。ただし企業ポッドキャストに放送局レベルの機材は不要で、5万円程度で十分な音質が出せます。

ダイナミックマイクはオフィスのエアコン音やキーボード音を拾いにくいので、会議室での収録に向いています。対談形式ならマイクを2本用意してください。※おすすめのマイク:ポッドキャストマイクロホンSKU: MV7+-K-BNDL-J
スマートフォンだけで始める場合は、外付けマイクを付けたうえで、iPhoneなら「ボイスメモ」で録音すれば最低限の音質は確保できます。
録音場所の選び方
- 会議室を予約し、エアコンを切って収録する
- 壁が硬くて反響する部屋は、机に毛布や厚手の布を敷くだけで改善する
- 定常ノイズ(換気扇、冷蔵庫、サーバーのファン)から離れる
- 朝一番など、オフィスが静かな時間帯を固定する
ステップ4:収録・編集・配信する
収録(PCがあればソフト不要)
Mac(QuickTime Player)
- QuickTime Playerを起動し「ファイル」→「新規オーディオ収録」
- 録音ボタン横の矢印から外付けマイクを選択、品質は「最高」
- 赤い録音ボタンで開始
Windows(サウンドレコーダー)
- 外付けマイクを接続し「設定」→「システム」→「サウンド」で入力デバイスを確認
- サウンドレコーダーを起動し、マイクアクセスを許可
- マイクアイコンで録音開始
話し方のコツ:マイクとの距離は15〜20cm。顔を上げて、会議室の端まで届く声量で話す。言い間違えたら止めずに言い直す(編集でカットできる)。
編集(最低限の3作業)
- 不要部分のカット(言い間違い、長い沈黙)
- ノイズ除去
- 音量の正規化
無料ソフトならAudacity(Win/Mac)かGarageBand(Mac)で十分です。オープニングとエンディングに短いジングルを入れると番組らしくなります。BGMは倍速再生で聴く人が多いので控えめに。
ジングルやカバーアートに生成AIを使う場合は、商用利用の規約と権利の帰属を必ず確認してください。企業番組は個人の趣味配信と違い、権利問題がそのまま会社のリスクになります。
配信(Spotify for Creatorsが無料で最短)
- Spotify for Creatorsでアカウントを作成
- 番組情報を入力(番組名・説明文・カバーアート)
- エピソードをアップロードし、タイトル・説明文・公開日時を設定
Spotifyに登録すれば、Apple PodcastsやAmazon Musicにも同じRSSで配信できます。分析機能と予約投稿が無料で使えるので、企業の最初の配信先として十分です。
ステップ5:聴かれる仕組みと続ける体制を作る
「作っただけ」で終わらせない3つの導線

- 社内導線:採用ページ、求人媒体、メール署名、名刺に番組リンクを置く
- 既存顧客導線:メルマガ、営業資料、商談後のお礼メールで紹介する
- 検索導線:エピソードを文字起こしして記事化し、Webサイトに掲載する
3番目が、企業ポッドキャスト特有の強みです。音声は検索されませんが、記事にすればGoogleから見つけてもらえます。社長ラジオでも番組を「読むポッドキャスト」として記事化しています。
続けるための体制(これが一番重要)

企業番組が止まる原因は、ほぼ「社長以外に担当者がいない」ことです。最低限、上記の役割を決めてください。
社長の時間は「月1回のまとめ収録1時間」に固定し、それ以外を社内担当者か外部に振るのが、続いている企業番組の共通パターンです。
内製するか、制作会社に頼むか
判断基準

内製の最大のコストは機材代ではなく、担当者の工数と社長の企画の手間です。1本の収録を記事化・SNS配信まで展開すると、1エピソードあたり3〜5時間の作業になります。
費用の目安
- 内製:初期費用 約5万円(機材)+配信費0円+担当者の工数(月5〜20時間程度)
- 編集だけ外注:1本単位で依頼できる業者が多く、金額は作業範囲(カットのみか、文字起こし・記事化まで含むか)で大きく変わる
- 企画から制作・配信まで外注(社長ラジオの場合):月額20万円〜(番組企画・聞き手・収録・編集・配信・記事化まで含む)
制作会社を比較するときは、金額だけでなく「聞き手を用意してくれるか」「記事化や採用ページへの展開まで含むか」を確認してください。編集だけの会社と、番組の目的設計から入る会社では、同じ「制作」でも中身が違います。
企業・経営者のポッドキャスト事例
社長ラジオが企画・制作した番組
社長ラジオの番組一覧から、経営者が自分の声で発信している実例を聴くことができます。業種も目的もさまざまですが、共通しているのは「社長×聞き手」の対談形式で、社長は話すことに集中している点です。
筆者自身の番組
- 40’s Biz talk:40代ビジネスパーソン向けの対談番組。収録を記事化して「読むポッドキャスト」として展開し、番組とブログの両方から接点を作っています
- 稼ぐ社長の脳内見学ツアー:経営者の思考をテーマにした番組
- 安田佳生のブレインスイッチ:共同代表・安田佳生の番組。人名を番組名に入れた例
よくある質問
Q. 社長が話し下手でも大丈夫ですか?
対談形式にして、聞き手が質問すれば問題ありません。流暢さより、本人の言葉で語っていることのほうが聴き手には伝わります。
Q. 再生数はどのくらいあれば成功ですか?
企業ポッドキャストは再生数より「誰に聴かれたか」です。候補者50人が面接前に聴いていれば、再生数50回でも採用には十分効いています。
Q. YouTubeではなくポッドキャストにする理由は?
顔出し・撮影・動画編集が不要で、社長の負担が圧倒的に小さいからです。移動中や作業中に「ながら聴き」されるので、最後まで聴かれやすいのも特徴です。
Q. どのくらいで効果が出ますか?
採用やブランディングの手応えが出るのは、週1配信で3〜6ヶ月が目安です。その前に止めないための体制づくりが、ステップ5です。
まとめ:企業ポッドキャストは「目的と体制」から始める
企業がポッドキャストを始める5ステップをおさらいします。
- 目的を決める(採用・ブランディング・集客のどれか)
- 番組を設計する(社長×聞き手の対談、10〜20分、週1)
- 機材を揃える(5万円のマイクと会議室で十分)
- 収録・編集・配信する(PC標準ソフト+Audacity+Spotify for Creators)
- 導線と体制を作る(記事化、採用ページ掲載、担当者の役割分担)
機材と配信は誰でもできます。差がつくのは、目的に沿った番組設計と、続ける体制です。
まず自社で試してみたい方は、この記事の手順でテスト収録をしてみてください。「企画から任せて、社長は話すだけにしたい」という方は、社長ラジオにご相談ください。番組の目的設計から、聞き手・収録・編集・配信・記事化までを一括でお引き受けしています。
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記事を書いたひと

社長ラジオ株式会社 代表取締役
柳澤 大介
プロポッドキャスターとして「40’s Biz talk」「稼ぐ社長の脳内見学ツアー」の2番組を運営し、経営者の”声”を発信し続けている。キーエンス初のインターネット事業「イプロス」では4.3万社が参画する製造業向けプラットフォームの成長を牽引。メルペイで100名規模の営業組織を構築し、国内182万ヶ所の加盟店を開拓。スマートニュースで営業企画責任者を経て、2021年に株式会社マイノリティを創業。2026年、経営者専門のポッドキャスト制作会社「社長ラジオ株式会社」を設立。B2Bビジネスのマネタイズとグロース、そして音声メディアを活用した経営者ブランディングが専門。埼玉大学で「イノベーションとマーケティング講座」の講師。
■ 経歴
- 社長ラジオ株式会社 代表取締役(2026/4〜現在) https://shachoradio.com/
- 株式会社マイノリティ 代表取締役(2021/2〜現在) https://minority.works/
- 株式会社ブランドファーマーズ・インク 代表取締役(2025/11〜現在) https://brand-farmers.jp/
■ メディア
- Podcast番組:40’s Biz talk
- Podcast番組:稼ぐ社長の脳内見学ツアー
- X(旧Twitter):socialselling84
- Udemy:法人営業の教科書
- note:https://note.com/socialselling
- 運営メディア:ソーシャルセリング.com
- 運営コミュニティ:マイクロ法人・経営研究会